後朝と午睡の間に

白い朝の光が障子戸の隙間から差し込んでいた。
眩い、敷布の陰影すらも輝かせる白さ。
光の中に正体を現す等と、夜に影に闇に息づく忍びには有るまじき、朝寝の失態に気付いても、矜持が傷つけられないのは、傍らに有る温度が愛しいと感じる故か。
瞼を引き上げると、見えてくる隣の顔に指先を伸ばしながら

「おはよ…―――、さん」



散々昨夜、啼かされながらも請われて無理強いのように呼ばされた相手の名前を、唇が微かに象る。
掠れた甘さを帯びた声音。
閉じた瞼が開き、己を写す時には、気恥ずかしさを紛らわす為の唇の交接を。
名を呼ぶ声を聞き及んだ相手が、更に強請るものは、温度か、音か。
どちらも欲しいと追ってくるのならば、惜しげもなく、「今」だけは与えよう―

とどのつまりは、もう一夜、午睡を経ての夜を重ねる事になるのかもしれない。
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